TRNSYSで対流熱伝達率を設定しよう。の巻。
TRNSYSでは床、壁、天井、屋根など構法のセット単位で、室内外の対流熱伝達率の指定ができます。
デフォルトは、室外側64 [kJ/h㎡K]、室内側11 [kJ/h㎡K] です。単位はWじゃなくてkJで設定することに注意が必要です。
この値は、Inputでも設定できるので、何らかの計算式からの、変数を利用することもできます。
このデフォルト値ってどんな感じの値なんだろう~。ということで、環境工学の教科書を開いてみた。
まずは室内側。
デフォルト値11 [kJ/h㎡K] を単位換算すると、11/3.6=3.05 [W/㎡K]
下の表の ΔΘは、壁面の表面温度と空気温度の温度差を示しています。
垂直壁表面を参照すると、デフォルト値の3.05 [W/㎡K] は、ΔΘ=5℃の2.9[W/㎡K]の値に近い。5℃よりも、もうちょっと温度差がある感じの値なのかなー。
次に室外側。
室外側は、外部風による強制対流状態にあり、室内側の自然対流熱伝達率よりも大きな値となります。外部風速と表面の粗滑状態で決まります。
ユルゲスの実験式に強制対流熱伝達率を求めるものがあります。
デフォルト値64 [kJ/h㎡K] を単位換算すると、64/3.6=18.2857 [W/㎡K ]
風速5m/s以下(普通面)と仮定して、下のユルゲスの式で求めてみると、風速3.2m/sぐらいの風が吹いている感じなのかなー。
このユルゲスの式でよいのかというのは議論があるところかと思いますが、ここでは、気象データの風速をつかってユルゲスの式より対流熱伝達率を算出し、複数室の計算に用いる、というのをやってみようと思います。
下の図は、Simulation Studioの画面です。青い線のところが今回の該当箇所です。
Equationに風速を引き渡し、算出した対流熱伝達率alpha_c_outをType56に引き渡します。
気象データから Equation に、風速Wind speedを引き渡す。
Equationにユルゲスの式(普通面)を記述する。
Equationに記述する式は3行。
1行目は、風速5m/s以下の式。
2行目は、風速5m/sより大きい場合の式。
3行目は、風速によって、1行目もしくは2行目、どちらを使うか引き渡す値をスイッチしている。単位変換を忘れずに―。
下は、Type56の構法(外壁)の設定画面。室外側にEquationで計算した値をINPUTとして引き渡している。
風に特徴がある地域では試してみるといいかもしれないねー♪
以上、over!!
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